家族を亡くした後、遺品整理はいつから始めればいいのか

進め方・手順

「いつから始めればいいのか」──その問いに答えはひとつではない

葬儀後に一人で静かに過ごす女性

大切な家族を亡くされた直後、「遺品整理はいつから始めるべきか」と問われたとき、「〇日以内に」とは一概に言えません。ご家族の住まい状況、残された遺品の量、相続の有無など、状況は一人ひとり異なります。

大切なのは「早ければ早いほど良い」でも「ゆっくりで良い」でもなく、状況に合わせた順番を知っておくことです。この記事では、遺品整理をいつから、どのような流れで進めるのが現実的かを、具体的な手順とともにお伝えします。

まず「遺品整理」と一口に言っても、その中には複数の作業が含まれます。思い出の品を整理する作業、大型家具や家電を処分する作業、そして場合によっては不動産の明け渡しに関わる作業も出てきます。それらをすべて「いつ始めるか」という一つの問いで考えるよりも、段階に分けて捉えると、気持ちも整理しやすくなります。

葬儀後すぐに手をつけなくていい。ただし確認しておくことはある

書類を一人で確認する女性

葬儀が終わった直後は、心身ともに消耗している時期です。この時期に遺品整理を無理に進める必要はありません。ただ、後で困らないために、この段階で確認しておきたいことが一点あります。

それは、故人が賃貸住宅に住んでいたかどうかです。賃貸の場合、契約の解約期限によっては、比較的早い段階で部屋を明け渡さなければならないことがあります。契約書を確認するか、管理会社・大家さんに連絡を取って、解約に関するスケジュールを把握しておきましょう。

自宅(持ち家)であれば、すぐに動かなくてはならない事情は少ないことが多いです。葬儀後2〜3週間は、行政手続きの対応や心の整理を優先しても問題ありません。

遺品整理より先に、相続の確認を

遺品を前に静かに考える女性

遺品整理を始める前に、必ず押さえておきたいのが相続に関する確認です。遺品の中には、財産的な価値を持つものが含まれている場合があります。預貯金通帳、有価証券、不動産の権利書、貴金属、骨董品など、処分する前に相続財産として扱う必要があるものが含まれていることも少なくありません。

遺品を処分してしまった後から「あれが相続財産だった」と気づいても、取り返しがつかないことがあります。整理の手を動かす前に、何が財産として残っているかを大まかに把握することが、後々のトラブルを防ぐ第一歩です。

また、相続放棄を検討されている場合は特に注意が必要です。相続放棄の熟慮期間は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月とされています(民法915条)。相続放棄を選ぶ前に遺品を処分・売却してしまうと、「相続を承認した」とみなされる可能性があります。相続に関する判断は、必ず弁護士や司法書士などの専門家に相談のうえ進めてください。

相続税については、基礎控除として「3,000万円+600万円×法定相続人の数」が設けられています。具体的な税額や手続きについては、最新情報を税理士にご確認ください。

実際の整理作業を始める目安は、葬儀後1〜2ヶ月ごろ

遺品を一人で仕分けする様子

一般的に、本格的な遺品整理の作業に取りかかる方が多いのは、葬儀から1〜2ヶ月が経過したころです。行政手続きの多くが一段落し、気持ちも少し落ち着いてくるこの時期は、実際に手を動かす現実的なタイミングと言えます。

ただし、「1〜2ヶ月経ったから始めなければ」というわけではありません。遺品整理のペースは、ご遺族の心の状態と生活上の必要性によって決まるものです。賃貸の解約期限が迫っているなど具体的な事情がなければ、焦らず進めてください。

一つの参考例として、こういったケースがあります。東京都在住の50代の方が、地方在住の親を亡くされた場合を考えてみましょう。葬儀を終えて自宅に戻った後、週末ごとに車で実家に通い、1ヶ月かけて貴重品や書類の確認を済ませ、2ヶ月目から家具・家電などの処分作業に入った、というような進め方です。距離がある場合は、焦って一気に片付けようとするより、複数回に分けて進めるほうが現実的です。

遺品整理の具体的な手順

専門家に相談する女性の様子

実際の作業は、おおよそ次のような順番で進めるとスムーズです。

  • ①貴重品・重要書類の確認と保管:通帳、印鑑、保険証書、不動産関連書類、遺言書などを先に確認します。遺言書は開封前に家庭裁判所での検認が必要な場合があるため、発見しても自己判断で開けないよう注意してください。
  • ②形見分けの相談:親族間で「誰が何を引き取るか」を話し合います。後々の揉め事を避けるためにも、この段階を丁寧に踏むことが大切です。
  • ③残す・売る・処分するの仕分け:遺品を大まかに3つに分類します。状態の良い家具や家電は買取に出せることもあります。
  • ④不用品の処分:自治体の粗大ごみ収集を利用するか、量が多い場合は遺品整理業者に依頼します。
  • ⑤清掃・原状回復:賃貸の場合は特に、退去前の清掃が必要になります。

この順番を意識するだけで、作業の見通しが立てやすくなります。

業者に依頼するときに知っておきたい許可の話

骨董品を慎重に確認する女性

遺品の量が多い場合や、遠方で何度も足を運べない場合は、遺品整理業者への依頼を検討される方も多いと思います。業者を選ぶ際には、持っている許可の種類を確認することが重要です。

遺品整理で家庭から出る不用品は一般廃棄物に分類されます。これを収集・運搬するには、一般廃棄物収集運搬業許可(市区町村が発行)が必要です。産業廃棄物収集運搬業許可(都道府県が発行)は、一般廃棄物の運搬には使えません。この二つは別の許可であり、代替できないことを覚えておいてください。

また、遺品の買取を行うには古物商許可(管轄警察署へ申請)が必要です。買取対応ができる業者かどうかも、見積もり時に確認しておくとよいでしょう。

なお、「遺品整理士」という資格名を目にすることがありますが、これは一般財団法人遺品整理士認定協会が発行する民間資格です。国家資格でも、遺品整理業を営むための許可でもありません。遺品整理士の資格を持っていなくても、遺品整理業は営業できます。資格の有無だけで業者の信頼性を判断しないようにしてください。

廃棄物処理に関する制度については、環境省の廃棄物・リサイクル対策のページもご参照ください。

誤解しやすいポイント:「形見の品」を先に動かしてしまうリスク

次の一歩を考えて一人で休む女性

読者の方が陥りやすい誤解の一つが、「形見分けは早めにしたほうが親切」という考え方です。気持ちとしては自然なことですが、相続の観点からは注意が必要です。

価値のある骨董品や貴金属などを、相続の確認前に親族間で分配してしまうと、後から相続財産の評価や遺産分割で問題になることがあります。「形見分け」と「遺産分割」は、法律的には別の行為です。財産的価値のあるものについては、専門家を交えて整理することをおすすめします。

また、故人が契約していたサービス(電気・ガス・水道・インターネット・携帯電話など)の解約も、遺品整理と並行して進める必要があります。これらを放置すると、不要な費用が発生し続けることになるため、リスト化して一つずつ対応していきましょう。

自分たちで進めるか、業者に頼むか、その判断の基準

遺品整理をすべて自分たちで行うか、業者に依頼するかは、状況によって変わります。判断の目安としては、次のような視点で考えてみてください。

  • 遺品の量が多く、一人や少人数では手が回らない
  • 遠方に住んでおり、何度も現地に行けない
  • 心身の負担が大きく、作業を進める余裕がない
  • 賃貸の解約期限が迫っており、短期間でまとめる必要がある

これらに当てはまる場合は、業者への依頼を検討する価値があります。費用は部屋の広さや荷物の量によって異なりますが、見積もりは複数の業者に依頼し、内容を比較することをおすすめします。

一方で、思い出の品については、できれば自分たちの目で一つひとつ確認したいと思われる方も多いはずです。全部を業者に任せるのではなく、貴重品や大切な品の仕分けは自分たちで行い、大型ゴミや不用品の搬出だけを業者に頼む、という分担の仕方も選択肢の一つです。

遺品整理の進め方に「正解」はありません。ご自身とご家族の状況に合わせて、無理のないペースで一歩ずつ進めていただければ、それで十分です。まずは「何から手をつけるか」だけを決めることが、最初の一歩になるかもしれません。

この記事を書いた人

遺品整理サポートナビ編集部

遺品整理サポートナビ編集部

「遺品整理サポートナビ」は、クアジュ合同会社が監修・運営する、遺品整理に関する情報メディアです。
大切な方を亡くされたご遺族が、ご自身のペースで次の一歩を踏み出せるよう、費用・手順・業者選びなどの実用的な情報をお届けしています。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律相談・税務相談・個別の専門的な助言に代わるものではありません。具体的な状況については、弁護士・税理士・司法書士・遺品整理業者などの専門家にご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました